戸籍の種類について教えて

相談者様

亡くなった母の銀行口座からお金を引き出そうとしたら、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本が必要と言われて戸惑っています。

相談者様

私は一人っ子だったのですが、ほかに相続人がいないことの証明が必要とかで...。
また、全ての戸籍謄本と言われても...、戸籍に種類などあるのですか?

回答者

銀行側からすると、もし他に相続人がいたとしたら貴方だけに引き出しを許すことはできないですからね。
自分だけが相続人だと示すには、故人の戸籍謄本を何通も取り寄せる必要があり得ます。

この記事では、戸籍の種類と、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本を取得する方法をお伝えしますね。

戸籍の種類

そもそも戸籍とは

戸籍には、人の出生、死亡、結婚、離婚、養子縁組などの身分に関わる生涯のできごとが記録されます。

現在の日本では「夫婦と未婚の子」を単位に戸籍が作られ、それぞれの戸籍には「筆頭者」が設定されています (夫が筆頭者となるケースが多数ですが、妻でも筆頭者となれます)。

戸籍が新しく作られるタイミング

戸籍が新しく作られるのは、通常次のようなきっかけに基づいて役所に届け出たときです。

  • 結婚したとき … 結婚して夫婦になると、夫か妻のどちらかを「筆頭者」として新しい戸籍が作られます。
  • 転籍した時 … 遠方への転居などをきっかけとして本籍地を移すことができ、その場合にも新しい戸籍が作られます。
  • 未婚の女性が子供を産んだとき … 子を持つとその女性は親の戸籍から出ることになり、自身が「筆頭者」として新しい戸籍が作られます。
  • 親の戸籍から独立した時 … 何らかの事情で親の戸籍から抜けて (「分籍」といいます) 、新しく戸籍を作ることもできます。

生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本を取得するには、上記のようなきっかけでその人の戸籍が生涯に何度か作られたことを辿る必要があるのです。

戸籍の種類

前の項でお伝えしたような場合や、人が亡くなった場合には、その戸籍に誰もいなくなることがあります。このとき、その戸籍は「除籍」と呼ばれます。

  • 除籍 … 戸籍に記録されていた人が、結婚、死亡、転籍などで、誰もいなくなったとき、その戸籍のことを「除籍」と言います。

また、本人の生涯とは関係なく、過去に何度か法改正により全ての戸籍が一斉に作り替えられています。これに伴う戸籍の種類は以下の通りです。

  • 現在戸籍 … 現在の法律に基づいて作成された戸籍。私たちが通常目にするのはこちらです。
  • 改正原戸籍 … 法改正により新様式で戸籍が作成されたときに、それまでの旧様式の戸籍のこと。「原」は元となったものとの意味で、「現在=げんざい」と区別しやすいように「原=はら」と読むこともあります。

さらに、戸籍本体とは別に「附票」というものが記録されています。

  • 戸籍の附票 … 戸籍に記録されている人の住所の履歴が記録されます。相続人を特定する際に、音信不通の親戚の居所を探すときに必要となることがあります。

戸籍証明の種類 (謄本と抄本)

役所では戸籍が保管されていますが、我々が戸籍の台帳そのものを入手することはできません。そこで戸籍の写しを取得するのですが、それには謄本と抄本があります。

  • 謄本 (とうほん) … 正しくは「全部事項証明書」といい、戸籍に記録されている全員に関する内容を証明したもの。
  • 抄本 (しょうほん) … 正しくは「個人事項証明書」といい、戸籍に記録されている特定個人の方に関する内容を証明したもの。

一生の全ての戸籍謄本を取得するには

ここまでのご説明で、戸籍の種類について分かっていただけたと思います。

次は、ある人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本を取得するにはどうしたら良いかを知りたいのでしたね。

一つ前の戸籍を辿る

まずは最新の戸籍謄本を取得して、上部の「戸籍事項」欄と、個人ごとの欄の「身分事項」欄を確認してください。その記載内容により、前の戸籍は次のように辿ることができます。これを出生にたどり着くまで遡るのです。

  • 戸籍改製 … 法改正により新様式の戸籍が作成されたという意味です。この場合は、同じ市区町村で「改正原戸籍」の謄本が取得できます。
  • 転籍 … 自らの届出で本籍地を変更したことが分かります。この場合は、「従前本籍」または「従前戸籍」として以前の本籍地が記載されているので、その住所地の役所で謄本を取得してください。ただし、以前の戸籍には誰も残っていないはずなので「戸籍謄本」ではなく「除籍謄本」を取得することになります。
  • 婚姻/離婚/入籍/養子縁組/分籍など … 戸籍の個人ごとの欄に、その人が戸籍に記録された理由と従前の戸籍の情報が「身分事項」として記載されています。結婚前の親の戸籍など、以前に属していた戸籍が辿れることになります。
  • 分家/家督相続など … 古い法律に基づく家制度に関わる内容です。もしこのような戸籍に辿り着いても驚かずに頑張って読み解きましょう。

戸籍が残っていないとき

古い戸籍をどんどんと遡っていくと、役所に戸籍が残っていないことがあり得ます。
天災や戦災での消失や、保管期限を過ぎたために破棄されることがあるのです。

この場合は、役所で「戸籍を廃棄したことの証明書」を作成してもらえるケースがあり、この証明書をもって、相続人がこれ以上いないことの証明に使うことができる場合があります。

まとめ

この記事では、戸籍の種類と、故人の一生分の戸籍謄本を取得する方法を、できるだけわかりやすく説明してみました。

基本的にはご自身で戸籍謄本を集めることができるはずですが、複雑な身分関係がある場合など、かなり手間がかかったり、読み解くのに難解だったりするかもしれませんね。そんなときには、

ぜひ一緒に考えさせてください。

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