公正証書遺言の作成って手間がかかる?
私の死後、相続で家族に面倒をかけたくないので、遺言書を作成しようと考えています。
お心懸け立派ですね!
遺言書は、あなたが亡くなって気落ちされているご家族の助けになってくれることと思います。
また、自宅保管の遺言書だと、死後に裁判所による確認を得る必要があるようなので、「公正証書遺言」を作成しようと考えています。
でも、それだと公証役場に出向いたりと、私自身の手間が大きいですよね。
確かに手間はかかりますが、ご家族に面倒をかけたくないのであれば最良の方法かと思います。
公正証書遺言を作成するにあたり準備すべき書類などをまとめておきますので、ぜひ挑戦してみてください!
遺言書の種類
まず、法律で認められる遺言書の種類を挙げておきます。代表的なものは次の3種類です。
自筆証書遺言
思い立ったときに自分一人で作成でき、費用もかかりません。ただし法的に正しい形式でないと、無効となったり、残された家族間でトラブルになったりするおそれがあります。また、ご自身の死後に裁判所で「検認」の手続きを経る必要があるため、ご家族にひと手間かけさせることになります。さらに、遺言書自体の紛失リスクもあります。
なお、2020年7月から始まった「法務局保管制度」を使えば、検認の手続きは不要となりますので、この制度の利用を検討されても良いと思います (ここでは触れませんが、別途機会があれば記事にいたします)。
秘密証書遺言
自作の遺言書を公証役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらえる制度です。公証役場でも内容を見られることはない反面、不備があっても気づくことができません。また、公証役場に支払う手数料と証人に支払う報酬がかかります。
特段の事情がある方以外にはお勧めしません。
公正証書遺言
公証役場に出向き、あなたの意思を公証人に伝えながら作成してもらう遺言書です。作成した遺言書は公証人役場で確実に保管されます。公証役場への手数料と証人への報酬がかかりますが、専門家の目を通すために内容の不備の可能性が減ります。
また、残されたご家族のことを考えると、遺言書の検認手続きが不要であったり、遺産分割協議で揉めたりしにくくなったりという利点があるので、私どもとしては一番のお勧めです。
ここからは「公正証書遺言」に絞って説明いたします。
公正証書遺言とは
そもそも「公正証書遺言」がどういうものかまとめておきます。
- どこで作成するのか … あなた自身が「公証役場」に出向く必要があります。一般の方には馴染みがないと思いますが、全国に約300箇所あるので、お近くの「公証役場」を探してみてください。
- 誰が作成するのか … あなたの意思に基づいて、公証役場の「公証人」が文章を作成してくれます。どんな相続内容にするかは、もちろんあなた次第です。
- 証人が必要か … 遺言書の証人として2名が立ち会い、遺言書に署名、捺印をしてもらいます。ちなみに相続人は証人になれません。ご自身で証人を用意できなければ、有料ですが公証役場で紹介してもらうこともできます。
- 費用はどれくらいか … 公証役場に支払う手数料は、簡単に言うと相続財産と相続人数によって決まり、ざっと5万円から10万円が目安とお考えください。
公正証書遺言作成時に準備すべき書類
遺言書に記載する内容に間違いがないように、①ご自身に関する情報、②相続人に関する情報、③相続財産に関する情報を証明する書類を準備する必要があります。
公証人が情報収集をしてくれるのではなく、あくまでもご自身が提示する資料が基礎になります。
必要書類
①ご自身に関する情報
- 本人確認書類 … 住民票、印鑑登録証明書、運転免許書などの本人確認のための書類が必要です。また、遺言書に「職業」を書く必要があるので、会社員であれば在籍証明書などを用意することが望ましいです。
②相続人に関する情報
- 戸籍謄本 … ご自身と相続人との関係が分かる戸籍謄本が必要です。また、相続人がほかにいないことを証明するために、あなたの生まれてからこれまでの全ての戸籍謄本が必要とされる場合があります。本サイトのこの記事をご参考にしてください ⇒戸籍の種類について教えて
- 遺贈相手の住民票等 … 相続人以外に財産を贈与することを「遺贈」と言います。遺言書には遺贈相手を特定するため住所を記載するので、住民票等での確認が必要となります。
③相続財産に関する情報
- 登記簿謄本 … 相続財産に不動産が含まれる場合は、遺言書に不動産の情報 (地番や面積など) を記載するために登記事項証明書 (登記簿謄本) を用意するのが確実です。
- 固定資産税課税証明書 … 不動産の評価額を知るために一番簡単に提示できるのは、毎年自宅に郵送されている「固定資産税・都市計画税納税通知書」です。評価額は、遺言書に記載するためでなく、公証役場に支払う手数料を決めるために必要なのです。
- 預貯金の口座番号 … 相続財産を記載するために、預貯金の口座番号が特定できる、貯金通帳やキャッシュカードなどを用意します。また、おおよその金額を伝える必要があるため、預金残高をメモしておきましょう。
- 証券会社の取引残高報告書 … 株式等の有価証券を相続財産として記載するためには、保有している有価証券の情報を示すために、「取引残高報告書」などの書類を準備します。
まとめ
この記事では、遺言書を作成する方に向けて、お勧めの「公正証書遺言」についてできるだけ簡単に説明させていただきました。
ご自身で「公証役場」に出向いて遺言書の作成が依頼できるよう、あらかじめ準備すべき書類についても挙げています。
お読みいただき、やはり面倒だとお感じなら、専門家に支援を依頼することをご検討ください。行政書士なら、必要書類の収集や公証役場との折衝をあなたに代わって実施したり、遺言内容の相談に応じたり、遺言書文案の作成にも対応できます。
ぜひ一緒に考えさせてください。
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