不動産の評価額を自分で計算したい
相続税がかかるかどうかを知りたいけど、まずは自宅の価値を知らないと。不動産の評価額って自分で計算できるのかな?
ご自身で計算できますよ。建物と土地に分けて、基本的な計算方法をできるだけ分かりやすく説明しますね。
お手元に「固定資産税・都市計画税 納税通知書」をご用意ください。
ほかには、インターネットで「路線価図」を確認します。
建物の評価額
手元に「固定資産税・都市計画税納税通知書」はありますか? 不動産の所有者に毎年5〜6月に市町村から (東京23区は都から) 届いているはずです。
課税通知書の何ページ目かに「課税明細書」がありますので、そこから「家屋」の項目の「評価額」を読み取ってください。これがそのまま相続税に使われる建物の評価額となります。
例えば、建物の評価額として
1,000万円
などの金額が読み取れるはずです。
土地の評価額
土地の評価額は国税庁がインターネットで開示している「路線価図」から確認できます。
でもその前にご自身の土地の面積を知る必要があります。
土地の面積(地積)を調べる
先ほど確認した「固定資産税・都市計画税納税通知書」の「課税明細書」を再度確認します。
課税明細書の「土地」(マンションなどの場合は「共有土地」) の項目の「現況地積」を読み取ってください。後の計算で使うために、仮に、現況地積は 100㎡ …① だとします。
路線価図を確認する
路線価図は国税庁がインターネットで開示しています。ここから開いてください。
全国の地図から、お住まいの場所の地図を探して、その土地が面している道路に表示されている数字と記号を確認してください。例えば「300C」 などと表示されていると思います。
数字部分は1㎡あたりの評価額を千円単位で表したものです。300なら後ろにゼロを3つつけて、300,000円すなわち 30万円…② ということですね。
数字の後の記号部分は土地の「借地権割合」を示しています。自宅でなく、貸家やアパートの場合に考慮する必要がありますが、説明は後に回しますね。
土地の評価額を計算する
上記2つの数字が出れば、それを掛け合わせるだけで土地の評価額が計算できます。
例えば現況地積が100㎡、路線価が300の場合は、
土地の評価額
= ①100㎡ × ②30万円
= 3,000万円
となります。
なるほど、これで自宅の評価はわかった! ほかに賃貸している物件もあるんだけど、同じ計算でいいのかな?
人にお貸ししている不動産の評価は、「借地権割合」によって評価額が減額されます。なぜ評価が低くなるかというと、他人が住んでいると、すぐには換金できないからですね。
「借地権割合」は建物と土地で違うので、分けて説明しますね。
人に貸している不動産の評価額
ここまでは自分で住んでいる不動産についてのお話でした。アパートなどで第三者に貸している場合は評価額を低く計算できます。
先ほど計算した自宅の評価額の値を使って、どれくらい減額となるかを見ていきます。
建物の評価額 1,000万円
土地の評価額 3,000万円
第三者に貸している場合
建物の評価額
不動産を第三者に貸している場合は、借地権割合 (建物の場合は借家権割合) に相当する額が減額されます。
建物については「借家権割合」が 30% と全国一律で決められています。
例えば、1,000万円の評価額の建物を貸している場合は、
建物の評価額
= 1,000万円 × ( 1 − 0.3 )
= 700万円
となります。
土地の評価額
土地の借地権割合は、建物とは違って、個別に路線価図で確認します。先ほどの例では「300C」でしたが、数字の後の記号部分が土地の「借地権割合」を示しています。
路線価図の上部の凡例の欄にその記号が表す借地権割合が表で載っていますが、A~G で 90%~30% を示しており、「C」なら 70% を意味します。
また、借家権割合 (30%) も加味する必要があります。
例えば、3,000万円の評価額の土地を貸している場合は、
土地の評価額
= 3,000万円 × ( 1 − 0.7×0.3 )
= 2,370万円
となります。
賃貸アパートのように建物の一部を貸している場合
この場合は、貸している部屋の割合 (「賃貸割合」といいます) に応じて減額になります。
前述の「借地権割合」と、この「賃貸割合」を掛け合わせた分が減額されます。
例えば、建物が1,000万円、土地が3,000万円の評価額のアパートで、10部屋 のうち 8部屋 が入居中の場合は、
建物の評価額
= 1,000万円 × ( 1 − 0.3 × 8/10 )
= 760万円
土地の評価額
= 3,000万円 × ( 1 − 0.7×0.3 × 8/10 )
= 2,496万円
となります (注:「賃貸割合」は厳密には床面積の割合で計算しますので、単純な部屋数の割合ではありませんが、この記事ではざっくりと単純化させていただきました)。
ちなみに、全部屋が賃貸入居中なら、上の計算式の 8 が 10 に変わり、1軒丸ごと第三者に貸している場合と同じ答え (建物の評価額 = 700万円、土地の評価額 = 2,370万円) になりますね。
まとめ
以上、できるだけ分かりやすく説明させていただいたつもりですが、ご自身で評価額の計算ができたでしょうか。
実際の相続の場面では、今回計算した相続税評価額だけでなく、実際の売買における価値を表した実勢価額も勘案する必要があったり、また、相続税の節税のための工夫を検討したりするかもしれません。
ぜひ一緒に考えさせてください。
お気軽にお問合せください
折り返し、お電話またはメールにてご連絡させていただきます。