離婚の手続って離婚届の提出だけ?
夫と話し合った末、離婚という選択肢を取ることにしました。
2人が署名した離婚届を役所に出せば、それだけで離婚は成立するのでしょうか?
確かにその通りですが、早まらないでください。お互いに取り決めておかなければいけないことが沢山ありますよ。
代表的な検討ポイントをできるだけ簡単に説明しますね。
協議離婚とは
離婚の種類には大きく分けて2つあります。「協議離婚」と「裁判上の離婚」です。
夫婦間で離婚の是非や離婚の条件面について折り合いがつかない場合には、裁判所での調停や裁判に頼ることになりますが、そこまで揉めることなく話し合いで解決できる場合には「協議離婚」という形を採ることになります。
「協議離婚」の場合、離婚届に最低限必要なことは次のことです。
- 離婚届に両者が署名すること。なお、2021年9月から押印は任意となっています。
- 夫婦の戸籍から一方が離籍した後の本籍を設定すること (結婚前の元の戸籍に戻るか、または新しい戸籍を作ることも可能)。
離婚後の苗字についてはこちらの記事をご参考に ⇒ 『離婚した後も子供と同じ姓を名乗るには? 婚氏続称ってどういうこと?』 - 証人2名の署名を受けること。
(証人の成り手がいない方は当事務所でも承ります ⇒ 『離婚届の証人代行サービス』) - 未成年の子供がいる場合は親権者を指定すること。
あらかじめ検討すべき取り決めごと
離婚後に後悔しないために、ほかにも色々なことを取り決めておく必要があります。
代表的な検討ポイントを挙げておきますので、慌てて離婚届を提出するのでなく、難しいとは思いますが、ぜひ先にしっかり話し合ってみてください。
検討ポイント① ー 共有財産の分け方
慰謝料
離婚で被った精神的苦痛に関して、相手に責任がある場合に請求することができます。金額について話し合いましょう。
財産分与
婚姻中に得た財産は(住宅ローンの負債なども含めて) 折半とすることが原則ですが、状況によって考慮することがあります。
- こちら側に充分な収入がないような場合には、離婚後の一定期間の生活を保証するための金額を上乗せすべきでしょう (扶養的財産分与)。
- 別居期間があり、その間の生活費を分担してもらえなかった場合には、その金額を請求することが可能です (婚姻費用の清算)。後で挙げる「養育費」と同様に裁判所より算定表が公開されています。
- 精神的苦痛の賠償を、慰謝料としてでなく、財産分与に上乗せするケースもあります (慰謝料的財産分与)。
年金分割
相手側が会社員などで厚生年金に加入している場合は、こちら方が扶養者となっていたなら年金分割を受けることができますので、こちらも忘れないように取り決めましょう。
検討ポイント② ー 子供の養育
親権者
離婚届への記載事項になりますが、未成年 (2022年4月1日からは民法改正により18歳未満が対象) の子供がいる場合は、夫婦のいずれかを親権者として決める必要があります。
なお、子供の苗字を変更する場合には、離婚成立後に家庭裁判所宛に「子の氏の変更許可申立」が必要となりますので、こちらも検討しておきましょう。
養育費
離婚した後でも、子供の扶養には両親で分担する必要があります。養育費の算定には、裁判所の研究報告が参考になります。こちらから参照してください。
この算定表によると、例えば夫の年収が600万、妻の年収が300万、0~14歳の2人の子がいる場合は、6~8万円が参考値になります。
面会交流
どの程度の頻度でどこで面会交流するのか、宿泊を伴うのかなどを夫婦間で取り決めておく必要があります。
面会交流は、夫婦の感情に基づいて決めるのでなく、あくまでも子供の福祉を優先して設定しましょう。
離婚協議書とは
ここまで挙げた検討ポイントを参考に、夫婦間で取り決めた内容は、口約束に終わらせるのではなく、必ず「離婚協議書」という契約書にして残しておきましょう。
「離婚協議書」は個人で作成して取り交わすことも可能ですが、より効力を確かなものにするためには、公証役場で「離婚公正証書」の形にしておくことも検討してください。
「離婚公正証書」を作成しておくと、養育費の支払いが滞った時に、強制的に給与を差し押さえて取り立てたりできるため、安心感があります。
私たち行政書士は、離婚後のトラブルを極力少なくする「離婚協議書」の作成、「離婚公正証書」の原案作成でお力になれます。
まとめ
この記事では、裁判所を介さない「協議離婚」を考える際に、あらかじめ夫婦間で取り決めておくべき代表的な検討ポイントをまとめてみました。
また、「離婚協議書」、「離婚公正証書」の作成もお勧めしました。お一人で悩むより...
ぜひ一緒に考えさせてください。
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